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トップインタビュー

新たな商品で市場の活性化に貢献し、持続的成長を実現していきます。

Q1 社長就任初年度、どのような想いで経営に臨んでいますか?

今年6月に代表取締役社長を拝命し、塩水港精糖という歴史ある会社で経営の陣頭に立つこととなりました。私は、2005年より大東製糖株式会社の社長を務める一方、2013年に当社の社外取締役となり、2021年からは代表取締役副社長として経営に携わってきました。前任の久野修慈会長が35年間にわたり築き上げてきた基盤を余すところなく継承しつつ、未来に向けて新たな成長の方向性を打ち出すことが、自らに課せられた役割であると認識しております。

私自身は、仕事に情熱を注いで取り組むことをモットーとしています。経営者として人を動かすことも、お客様に商品をお買い上げいただくことも、情熱があるかどうかで成果が異なってきます。長年在籍した大東製糖は、比較的小規模な会社であり、その中で幅広く業務に関わりながら、自分の情熱を高めて仕事に向き合ってきました。こうした経験を経営に活かし、当社事業の発展に寄与すべく尽力してまいります。

Q2 会社のあるべき姿と経営課題についてお聞かせください。

今、私たち塩水港精糖に求められているのは、砂糖市場の活性化に向けたアプローチです。新たな価値提供や行政との関わり方も含め、長期的な視点で砂糖市場に寄与し、人体の機能維持に欠かせない生活必需品である砂糖の安定供給を支えることが、当社の存在意義です。そしてキャッチフレーズ「おなかにやさしい会社」が示す通り、オリゴ糖をはじめとするバイオ事業の商品を通じて、生活改善や健康増進に貢献することが、当社のもう一つの存在意義となっています。

これらの存在意義に根差した取り組みは、急進的・飛躍的な成長をもたらすものではなく、長期的な安定収益の確保によって企業価値を着実に高めていきます。そこでは、お客様や社会との長期的な関係構築が前提となるため、サステナビリティテーマとの親和性が高い事業展開につながってきます。私たちの事業そのものがサステナブルな価値創造に資する活動であることをしっかり意識して取り組みつつ、その姿勢を社内・社外へ発信し、ステークホルダーの皆様にご理解いただくことが重要だと考えています。

当社にとって最大の経営課題は、砂糖市場の活性化をもたらす新商品の立ち上げです。現在、当社の売上高全体に占める砂糖事業の割合は、9割を超えています。国内の砂糖消費量が漸減し、市場の縮小傾向が見られる中で、私たちはもちろんバイオ事業を中心とする非砂糖分野の拡大を図っていきますが、やはり事業の基幹である砂糖分野の再成長というテーマを避けて通ることはできません。多くのトライ&エラーを重ねて商品を開発するのでなく、一発必中に情熱を注いだ新商品を投入し、消費者のニーズを捉えながら、需要喚起に向けた市場啓蒙を進めていきます。

そのために必要な対応として、社内の組織体制を整備し、部門間の連携を強化することで、研究、開発、生産、マーケティング、販売といった機能をより有効に発揮させていく方針です。新商品の立ち上げは、大きな労力を要する取り組みですが、当社と砂糖市場の未来を拓くべくチャレンジしてまいります。

Q3 中長期の成長に向けてどのような戦略を進めていきますか?

砂糖事業は、先にご説明しました通り市場の活性化をもたらす新商品の立ち上げが最重要テーマであり、これを新たな柱として中長期の成長につなげていきます。その実現に向けて、研究、開発、生産、マーケティング、販売といった機能をより有効に発揮させる連携・統合体制を敷き、さらに各機能の拡充も進めながら、相乗効果を図っていく考えです。

バイオ事業は、これまでオリゴ糖部門において、トクホ(特定保健用食品)の取得など機能性を重視した展開を進めてきましたが、今後はライトユーザー層も視野に入れた幅広いニーズへのアプローチへ転換し、市場を大きく拡げていきます。また、3年前からスタートしたビーツ部門は、国内におけるリーディングカンパニーとして市場をさらに拡大・深耕すべく、新たな商材の開発に一層の情熱を注いでいきます。なお、今年6月に締結した大東製糖との業務提携契約に基づく協業体制は、中長期の成長に向けた今後の事業基盤づくりにおいて、大きな役割を担っていくものとなります。当社と大東製糖は、「ユーモアな食品を提供し、未来を創る会社へ」をテーマに、「新事業・新商品開発」「既存事業強化」「販売体制強化」「さとうの未来を創る社会貢献活動」の4項目を協業の軸として、それぞれ両社横断による会議体を設け、取り組みを開始しました。

大東製糖は、砂糖にかかわる事業展開のスキームが当社と異なるため、両社の協業においては、言わば「いいとこ取り」によるシナジーの発現が期待できます。相互の人的交流を通じて、企業文化の融和についてもスムーズな感触を得ており、双方の強みを十分に活かした取り組みが可能と思われます。現在、各会議体を中心に仕込みを進めている協業のタネは、来期から順次具体的な形としてお示しできる予定です。

Q4 株主・投資家の皆様に伝えたいメッセージをお願いします。

当社は、利益還元施策を株主・投資家の皆様との長期的な関係づくりの一環と位置付け、安心して当社株式を保有してもらえるよう、安定配当の維持に努めるとともに、株主優待制度を通じて当社商品および事業へのご理解を深めていただいています。当社商品をご愛用されるユーザー株主様・ファン株主様の存在は、私たちにとって大変心強く、その輪をもっと拡げて、多くの方々にご支援いただける会社を目指す所存です。

これからも利益還元の拡充と、より満足度の高い株主優待の実施を目指し、また株主様アンケートの実施などを通じて、皆様から寄せられたご意見を経営に反映してまいります。

また今後は、当社グループの中長期的なあるべき姿を策定し、企業価値の拡大と持続的成長の実現に向けた展望を株主・投資家の皆様にわかりやすく具体的にお伝えすべく、準備を進めていきます。当社は台湾統治下、当時の民政長官後藤新平による教育、衛生を始め、現地の人々の理解と協調を旨としたあらゆる民主統治政策の下、明治37年に創業しました。当社の社名は創業の地、鹽水港庁岸内庄に由来します。当社は来年創業120周年を迎えますが、当社がこの120年間、「台湾近代化の父」後藤新平の遺した「拓殖・協調」の心を受け継いでこられましたのも、偏に株主様、お取引先様各位、歴代の諸先輩方を始め、当社を永年に亘り力強くお支え頂いた全ての皆様の温かい御心の賜物と、深く感謝御礼申し上げる次第です。

当社は、後藤新平の心を受け継いだ120年の社名を今後とも大切にし、未来に向け、新たな歴史を刻んで参る所存です。

株主・投資家の皆様におかれましては、新たな飛躍を目指す当社の挑戦にご注目いただき、さらなる事業発展へのご期待をもって、引き続き長期的なご支援を賜りますようお願い申し上げます。