
2023年6月に当社の代表取締役社長を拝命して以来、前任の久野修慈会長が築き上げた経営基盤を継承・成長・発展させるべく、2025年上期も邁進してまいりました。そのような日々の中、特に最近は、社会が目まぐるしく変化していると感じています。これまでの常識が揺らぐ出来事が国内外で起きたり、以前はベールに包まれていた人の心情が、ある瞬間から鮮明に見えたりするなど、時代の流れや変化を五感で感じ取っております。このような状況下、会社運営においても自身の感覚を研ぎ澄まし、社会の動きを察知し、反応しつつ、基盤の強化と事業拡大に努めてまいりました。
当社は、すべての皆様のおなかの健康に貢献する「おなかにやさしい会社」として、食を通して広く社会に貢献する会社を目指しております。「ユーモアな食品を提供し、未来を作る会社」のテーマのもと、砂糖・オリゴ糖事業をはじめ、各事業の推進に全身全霊、全社一丸となって取り組んでおります。
その結果、2025年上期は、前年に続いて業績を上げることができました。第2四半期の売上高は16,667百万円(前年同期比3.1%増)など、増加基調を維持しております。また、保有する投資有価証券の一部を売却したことも、ポジティブな状況を作り出しました。当社は去る10月29日にフジ日本株式会社(以下、フジ日本)とのアライアンス契約を締結いたしましたが、保有株の売却が精糖事業への投資及び基盤強化につながっております。フジ日本は、1949 年に設立したフードサイエンスカンパニーです。祖業の精糖事業を基盤としつつ、水溶性食物繊維「イヌリン」を中心とした機能性食品分野において、世界を舞台にさらなる成長を目指している意欲的、挑戦的な企業です。お互いの強みを活かし、シナジー効果の最大化が期待できるアライアンス契約の締結は、絶好のタイミングと好機に恵まれて実現したといえます。当社としては、将来に向けた投資ができたと考えております。
先ほども申し上げましたとおり、現在の社会は変化が激しい一方で、不透明さも増しています。砂糖業界に注視すると、それに加えて気候変動や砂糖の価格調整制度の構造的な歪みがもたらす過重な調整金負担等により、早急な変革を迫られております。アライアンス契約は、「未来を作る会社」である当社にとって、新たな取り組みや付加価値を創出する契機になると期待しております。

国内外の経済情勢が依然として不透明な中、当社グループはお客様をはじめ、地域社会、関係取引先、従業員およびそのご家族の安全と健康を最優先に考え、各事業で年度計画の達成に向けて全力で取り組んでまいりました。
まず、基幹事業である砂糖事業については、お取引先やお客様のご理解とご協力を十分にいただいたことで実現した、原料価格高騰に伴う販売価格への転嫁とその浸透が、業績を押し上げたと分析しております。
また、精糖およびその他糖類などの国内販売については、家庭用製品こそ低調だったものの、業務用製品ではインバウンドや観光需要の増加が業績に好影響をもたらしました。さらに、今年の記録的な猛暑が追い風となり、飲料メーカー向けなどへの販売も好調に推移し、販売数量・売上高ともに前年同期を上回っております。
バイオ事業については、主力であるオリゴ糖部門において、タレント・美容家であるIKKO氏や落語家の林家つる子氏をメインキャラクターに起用し、“オリゴのおかげ=腸活” というイメージの定着に引き続き取り組んでまいりました。こうした取り組みはファンの獲得につながり、大容量タイプなどコアユーザー向け製品の需要を押し上げました。一方で、一部の家庭用製品や業務用製品では、伸び悩みが見受けられました。
しかし、その中でも『さとうきびオリゴ』の存在は特に注目すべきものでした。従来、オリゴ糖は「整腸作用」などの機能性が注目されてきましたが、奄美の豊かな大地で育まれた『さとうきびオリゴ』の登場以降、ナチュラル志向のユーザー層も取り込み、現在では一定のファンの獲得と成果につながっております。今後は、オリゴ糖市場全体において、幅広く認知拡大と販売促進に努めてまいります。
2025年下期に関しては、国際的な粗糖相場の下落により、砂糖の原料である粗糖の調達コストが低下したため、去る11月より砂糖価格を8円値下げいたしました。これは、2018年7月以来、約7年ぶりの値下げとなり、砂糖業界にとっては大きな動きですが、当社の収益基盤を大きく揺るがすものではないと考えております。
経済メディアなどでも大きな話題として取り上げられておりますが、当社は、2025年5月9日に公表した2026年3月期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績予想について、上方修正を行いました。通期の売上高は322億円となる見通しです。
修正の理由としましては、セグメント別の振り返りにもありました通り、砂糖事業およびバイオ事業ともに手応えのある成果が得られていることに加え、投資有価証券の一部売却による特別利益が当初予想を上回る見込みとなったためです。適正価格での仕入れや販売など、きめ細やかな経営に努めることで、今後も突発的な状況下において一定の利益を確保できると考えております。
現在の日本は、経済、食料生産、人口問題など、さまざまな課題を抱えるとともに、まさに転換期を迎えているといえるでしょう。砂糖業界も例外なく岐路に立たされており、多岐に渡り対応が必要です。砂糖生産においては、安心・安全な製品を安定して供給するために、大規模な設備やその運営への継続的な投資が不可欠です。また、物流システムの改善も成長戦略の一環となります。現在明らかになっている課題については、アライアンス契約を締結したフジ日本と協力することで、より効率的なロジスティクスの実現が可能になると考えています。
また、BtoCに強い当社とBtoBに強く、海外事業への知見もあるフジ日本とは、お互いの強みを活かし、シナジーを最大限に引き出せるよう協議を重ねながら、最善の選択ができると確信しております。両社の各部門で知識を交換・共有することにより、新しくユニークなアイデアが内側から生まれてくる可能性もあります。良きパートナーと出会えたことについて、ご期待いただければ幸いです。
DX・ITの推進については、生産性向上のため積極的な活用を進めています。具体的な活用例としては、物流施設におけるドライバーの待機時間を短縮するため、トラック予約受付システムを導入しました。これによりロジスティクスの効率化と人材活用の最大化を図っております。DX・ITを推進する一方で、企業としてセキュリティへの十分な意識と高い感度も求められます。外部からの脅威についても同時に対策を進めてまいります。
企業の成長には、人材への投資も重要な成長戦略です。当社は、コロナ禍によって見合わせていた新卒採用を再スタートいたしました。また、当社で働く若い世代の増加を踏まえ、また既存社員にとっても不可欠な教育やキャリアパスを明確にするため、教育体系の再構築にすでに取り組んでいます。私事で恐縮ですが、私は人材育成の会社で社会人としてのキャリアをスタートさせました。その経験を活かし、新たな教育体系を浸透させることで、世代や部門間の業務の円滑化や、社員の皆様の働きやすい環境づくり、さらには企業の成長にもつながると考えています。
社内の風通しの良さは、これからさまざまな形となって皆様の目に映る機会があると思われますが、直近では、新商品を皆様にご紹介できるよう、準備を進めております。特にECというチャネルには大きな期待を寄せており、事業拡大の一環として、「Ashita+Lab(あしたプラスラボ)」という、QOL(生活の質)向上をテーマにした情報発信・交流型コミュニティサイトを2025年7月24日にオープンしました。本サイトでは、食事、運動、睡眠、ストレス管理、スキンケアの5つの要素を軸に、医師や専門家によるコラムなどの情報を発信しています。また、ユーザーとの交流や対話が生まれる場として形成しているため、今後はさらにお客様と意見を交わしながら、市場のニーズに先んじた商品開発を進めていけると考えています。
販売活動においては、業務提携している大東製糖株式会社(以下、大東製糖)との連携がより強化され、相互補完的な関係を築くことで、経営基盤の強化に努めています。また、社会貢献活動に関しても、業務提携によって積極性が増しております。当社はこれまでも環境や社会貢献に取り組んでまいりましたが、今後は、たとえ小規模であっても子どもたちの成長の支えとなるようなプロジェクトを応援し、当社も積極的にその一員として活動していきます。これは、ある意味で「未来を作る会社」としての使命だと考えています。

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。当社は、お客様のおなかの健康に貢献する「おなかにやさしい会社」として、年度計画の達成に向けて全力で取り組み、前述のように、上期は飲料ユーザー向け商品の好調や、保有する投資有価証券の一部売却を主な要因として、前年に続き業績を伸ばすことができました。ポジティブな状況は、通期の業績予想の上方修正としてもお示ししております。
こうした状況のもと、当社は来年度を初年度とする中期経営計画の策定を進めております。この件につきましては、改めて皆様にご報告できるよう準備を進めるとともに、着実かつ確実に取り組んでおります。策定の根底には、久野会長の経営スタイルである「業界に尽くす良心的な企業であること」「独創的な事業を展開すること」「お客様にも寄り添うこと」の3つを据えており、経営マインドを継承しつつ、既存事業の再整備から新たな価値の創造まで、さまざまな取り組みを進めてまいります。
今後も当社は、株主・投資家の皆さまのご期待に応えられるよう、持続可能な成長に向けて着実に歩みを進め、飛躍を目指してまいります。今後とも変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。